君の助手席で

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「ねぇ、優斗?」 「ん?」  運転席の窓を開ける。雨上がりの風が車内に吹き込む。 「今度はもっと明るい時間にドライブしない?」 「いいね。海でも行く? 江の島とか。山だったら箱根方面な。温泉もあるし」 「温泉かー。いいね」 「行く? 杏奈の運転で」  なんだか調子のいいことを言っている優斗の顔をちらりと見る。 「あんたってさー、もしかしてどの女の子にも、そういうこと言ってるの?」  赤信号で車を止めた。 「まさか。俺、ずっと前から言ってるじゃん? お前の隣が好きなんだって」  ぼうっと前を見たまま、優斗の言った意味を考える。 「このままずっと、杏奈の隣でもいいけどな、俺は」  信号が青に変わった。私はゆっくりとアクセルを踏み込む。 「そうだね。意外とうまくいくかもね。私たち」 「だな」  隣で笑う優斗の顔を想像しながら、まっすぐ続く道を走らせる。  澄み切った青空の下を、夕暮れの茜雲の下を、今夜みたいな雨上がりの星空の下を、これからもずっと走っていけたらいい。  優斗と一緒に。
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