君の助手席で

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 私は車の運転が好きだ。  仕事で車は使わないから、週末になると運転したい気持ちがムクムクと湧き出して、真夜中にふらりとドライブに出かけたりする。  愛車は親戚のお姉さんから譲り受けた中古車。  運転は好きだけど、車には詳しくないから、走れれば充分。  上品なピンク色も気に入ってるし、乗り心地も悪くない。  今夜もこの愛車で、どこか近場のドライブでもしようかなって、思っていたところだった。 「今、横浜で飲んでるんだけど。杏奈、迎えに来てよ」  私が行くのを当たり前のように、電話の向こうで優斗が言う。 「えー? 横浜?」 「一時間位で着くよな? それまで飲みながら待ってるから。よろしく」 「は? 優斗、あんたねー」  文句を言いつつ、今夜も来てしまった私。  まぁ、片道一時間のドライブは、予定よりちょっと遠いけど、悪くはない。
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