君の助手席で

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 優斗が高速代を払ってくれるというので、少し遠回りして湾岸線で帰ることにした。  夜の高速を運転するのは嫌いじゃないけど、夜景を満喫できないのが、ちょっと残念。  助手席の優斗は、ベイブリッジが見えただの、観覧車が見えただの、子どもみたいにはしゃいでいるけど。 「あのさ、優斗も免許とったら? 人に頼ってばかりいないで」 「俺、外回りじゃないから車乗らないし、だいたい免許持ってても、飲んだら乗れないだろ?」  あくまでも私を、お酒を飲んだ時の運転手に使おうとしてるわけね?  まぁ私は、お酒好きじゃないからいいけど。  女友達との飲み会の時でも私は一人車で行って、帰りにみんなを送ってあげるのが、お決まりのパターンだ。  飲み会でおしゃべりするのは好きだけど、別に飲みたいとは思わないから、ウーロン茶で満足。  運転するのも好きだから、みんなの家を回るのも全然苦ではないし、おまけに大感謝されて、得した気分を味わえるのだ。  だからと言って、私は優斗の運転手になった覚えはないけどね。 「それに俺が免許とったらさ」  外を眺めたまま、優斗がつぶやく。 「もう杏奈の隣に乗せてもらえなくなっちゃうじゃん? 俺、この席が好きなんだよ」  私は黙ったまま、ハンドルを握る。  優斗の言葉を何度も頭の中で繰り返しながら。
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