銀色に輝くそれは100円玉

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だって、だって、わたしはどうしてもこの百円玉をゲットして、つぶつぶオレンジジュースを飲みたいのだから。飲むんだから。 喉がカラカラで仕方がないの。 喉がこんなにも渇いているのにわたしの財布の中身は十円しかないの。 だから、お願い。百円玉をわたしにください。 わたしは、制服の袖が汚れることもお構いなしに、腕を伸ばして、伸ばして、百円玉に近づく。 おっと、この少しひんやりとした感触。銀色に輝く百円玉にわたしの手が届いたのだ。 やったね! わたしの粘り勝ちだね! 埃や泥で汚れてしまった手を気にもしないで、わたしは高々に百円玉を頭上近くまで上げて、マジマジと見つめる。 ああ、愛しの百円玉ちゃんと、百円玉ちゃんに頬をスリスリしていると……。
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