銀色に輝くそれは100円玉

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「それ、俺の百円玉なんだけど」 低くて恐ろしい男性の声がした。 そう、その声は……。 きゃ~きゃ~大変だどうしよう。 わたしは、恐る恐る声がする方向に振り返ると、ぶすりとした表情で、憧れのクラスメートの丸中(まるなか) 君が立っているではないか。 「返してくれる?」 「は、はい、すみません。お返しします」 わたしは、せっかくゲットした百円玉を丸中君に渡した。 「ちょっと、栗林さん」 「はい」 わたしは、百円玉を拾ってあげたお礼でも言われるのかと思いとびっきりの笑顔を作った。 だが、しかし……。 「あんた、顔まで泥まみれだよ」 なんて言われて意気消沈した。 百円玉もゲット出来ずに、醜い醜態まで晒してしまったわたしの不運は続くのかな。
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