占い師ヒナコ姐さんの100円水晶

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占い師ヒナコ姐さんの100円水晶

 ハーイ、そこのお嬢さん。ごきげんいかがぁ?  ほら、貴女よ貴女~。出入り口でポカンと口開け突っ立っている貴女よ。ちょっち良いかしらん?早くドアを閉めて頂戴な、寒い夜風がビュービュー吹き込んでくるのが分からないの? 気が利かないお嬢さんだこと。  どうしたの? 何をそんなに怯えているのかしら?  えっ?「此処は長野行き高速バスの待ち合わせ室で間違いアリマセンカ」ですって?  う~ん、そうみたいだけれど。ホラ、あそこに案内板もあるしね……ああ貴女、バスに乗る予定なの? ワタクシ? ワタクシは別にバスを待っている訳じゃないわ。 「じゃあ、一体何をしているのデスカ?」それは見ての通り……酒盛りよ。  オンナ独り寂しく酒を呑んでいるの。生憎、今夜はヒドイ嵐。外で月見酒とは行かないじゃない。だからこうして代わりの場所を探して、上手い具合に暖をとる処が見つかったという訳。  ねえねえ、今夜は全然ツイテいなかったワタクシの話に耳を傾けてくださるかしらん? およ? 何々、その前に尋ねたい事がありそうな顔ね。良いわよ、何でもお聞きになって?。  ふんふん……。 「ところで、オバサン誰デスカ」ですって?     
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