19.03.26

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19.03.26

 施設に行くために、電車に乗っていた。向かいの席に座った男性は、灰色のトレーナーにベージュのチノパン。髪はぼさぼさ、黒縁眼鏡でじっとスマホを見ていて、一目見て何かしらまともでないものを感じ、意識しつつも視線を向けないようにした。次の停車駅。ドアが閉まる直前でその男性が唐突に立ち上がり、扉を無理に開こうとしているようだった。やはり、奇妙な人だったか。結局、無理だったのか、彼が元々いた席に戻る。すると、あとから、カートを引き摺った老人が入って来る。奇妙な男性は、その人の鞄が引っ掛かっていたのを、助けようとしていたらしい。私はとても恥ずかしくなった。人を見た目で判断するな、的な在り来たりな話。かと言って、その男性が奇妙な見た目をしていたことは変わらないのに。  昨日からの続き。異動先の部署で、今までの経験が全く役に立たず、1つ1つの単語や数値の算出方法に苦労する日々の中、私はコミュニケーション能力不足により、先輩や上司に助けを求めることが出来ず、勝手に潰れていった。  独りで潰れていったことについては、後からも心療内科医や産業医やカウンセラーからも色々尋ねられた。誰か気にかけてくれる人はいなかったのか。気にはかけてくれた。かけてくれたし、初めの頃はかなり助けてくれていた。こう考えると、コミュニケーション能力というよりも、自分の出来なさを認めることが出来なかったプライドが邪魔をしていたのかもしれない、なんて昨日書いたことを早くも反故にするようなことを書くが、コミュニケーション上、問題を引き起こしていた原因もこのプライドに起因する可能性が高い。プライドとか、それに付随する恥とか。そうだ。よくよく考えればコミュニケーション能力というか、プライドの高さ、恥を極端に恐れるこの気持ち。完璧主義的な。これが、邪魔なものだ。ある程度は必要なのだろうが。このプライド、傷つくことを避ける心性は、仕事に限らず、異性関係でも常に問題になってきていた。これは今思い付いたので、またいずれ書く。
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