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それは、星空からやってきた隕石でした。
隕石のまわりの雪が溶けて、シューシュー音を立てて白い蒸気が立ち昇っています。
あたり一面、水びたしになり、水たまりから小さな川が流れ出ています。
雲が去り、高く青い空が開けていきます。
うさぎは、いそいそと駆け寄って声をかけました。
「やあ、おはよう。待ってたよ」
隕石がすっかり冷えるまで待って、1匹と1個は家に入りました。隕石はちょうど扉を通り抜けました。
うさぎは隕石のために昨日の夜から用意していた料理を出しました。
朝食の後には、泉の水で淹れたタンポポ茶を出しました。
うさぎは草原の話をして、隕石は空の彼方の話をしました。
雪が解けると濃い色の地面から若い芽が出て来ました。
昼を過ぎる頃には濃い緑が茂り、虫たちが飛び回りました。
太陽はぎらぎらと眩しく、地面は陽炎で揺れています。
強い雨が降って蛙が鳴き、雨上がりには蜻蛉が枝に止まってくるくると頭をまわしました。
やがて夕方になると冷えてきて、木々が紅葉し、ひぐらしが残された暖かさを惜しむように鳴きました。
その間ずっと、うさぎの穴の中からは楽しそうな話し声と、かちゃかちゃいう食器の音が聞こえていました。
雪が降り始めました。
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