1人が本棚に入れています
本棚に追加
1:うさぎと隕石
真っ白な、一面の雪の原に、うさぎがぽつんと立っていました。
さっきから、じっと空を見上げています。
うさぎの後ろには雪の中に続く穴が見えます。
穴はうさぎの家の入口です。肉食の鳥が空から見ても分からないように、地面の下に家を作るのです。
入り口はただの穴に見えますが、中はけっこう広くて、暖かで快適です。
このうさぎの家は、普通のうさぎの家とちがって、うさぎの背丈の倍くらいのとても大きな扉がついています。
普通は、うさぎの背丈と同じくらいの扉がついているものです。うさぎが出入りするだけなら、それで十分だからです。
空気はすっかり凍りつき、雪まじりの冷たい風が吹いています。空は暗くて、厚い雲に覆われています。
そのどんよりとした空の彼方で、きらりと光るものがありました。
うさぎはそれを見ると、嬉しそうに駆け出しました。
光は見る間に大きくなって、ごおごおと音と立てて近づいて来ました。
真っ赤に燃えた塊が、炎を尻尾のように吹き上げています。
炎の塊は、うさぎの家の近くの地面に、どーんと大きな音を立てて落っこちました。
熱い風が、ばりばりと辺りを薙ぎ払います。
最初のコメントを投稿しよう!