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朝日が差し込む廊下で、私は冬美先生の背中を追いかけた。 「ちょっと、置いてかないでくださいよ~。冬美先生!」 「何故、私があなたを待たなきゃいけないのよ」 「だって……」 外では、桜の蕾が開き始めていた。 それは、私の働くこの幼稚園にも別れの季節がやってきたということを、痛烈に感じさせた。 「小春先生。あなたがしっかりしないと、「きく組」の園児たちも、明日ちゃんと卒園できないわよ?」 「はーい……」 私、小川小春は、新人の保育士として、ここで働いている。 今年度は年長組である「きく組」の担任を任された。 慣れないことだらけで大変な一年間だったが、それももうすぐ終わろうとしている。 感慨深いものだ。 私が一年間をなんとか乗り切ることができたのは、現在、私の一歩前をスタスタと歩いている、冬美先生のお陰だった。 彼女は私の憧れの先輩だ。 彼女には、怒られることも多い。しかし、私が保護者の方にクレームをつけられているときに必死にかばってくれたり、子供たちのことで相談に乗ってくれたりと、いつも助けてもらっている。 さらに、普段はツンツンしているにもかかわらず、子供たちには、優しく、ときに厳しく、愛情をそそいでいる。     
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