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子供の成長は早い、とよく言うが、それは嘘ではないことを思い知らされる。一年前は、こんなにしっかりしていなかったのに……。
しみじみと彼らを見つめていると、そのうちの一人が小さく手を挙げた。
「こ、こはるせんせー……」
「ん? どうしたの、花ちゃん?」
花ちゃんは、きく組の中でも一番内気な女の子だった。とっても可愛い女の子なのに、重度の恥ずかしがり屋なのだ。
「あのね、花の折り紙がね、無くなっちゃったの……」
「えっ、ほんと?」
「うん……」
花ちゃんの元へ行き,彼女のお道具箱を覗くと、確かに折り紙が無くなっている。
「誰か、間違えて花ちゃんの折り紙を持ってる人いない~?」
皆が各自のお道具箱を確認するが、折り紙が二セット入っている人はいないようだ。
「うーん、昨日も折り紙は使ってたんだよね?」
「うん」と花ちゃん。
「名前は書いてた?」
「ううん……。ごめんなさい……」
「お家に持って帰ったりとかは?」
「ううん。ちゃんと昨日、お道具箱にしまったよ……」
確かに、今日も途中から作業をするのに、持って帰る理由はない。
花ちゃんはシャイだけれど、比較的しっかりしているから、うっかり持って帰ってしまうなんてことは無いと思うのだけど……。
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