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「なぜかって聞かれれば、それはね、花ちゃんと健太くんの為を考えてたから」
それって……
「どういうことですか……?」
「折り紙をなくした花ちゃんが、自分で誰かに頼んでそれを貸してもらうことができたのなら、彼女に自信がつくと思ったの。恥ずかしがり屋な性格が、ちょっとでも直るのなら、って」
確かに、彼女の言った通りになった気もする。花ちゃんの笑顔は、自信の表れのように、私にも思えた。
「じゃあ、健太くんは……?」
「彼にも、人のものを取ったらいけないんだよ、って知ってほしかったの。ちょうど、あなたがさっき言っていたみたいにね」
そういう思惑があったのか……。花ちゃんや健太くんの性格や様子について、私自身が冬美先生に相談していたから、心配に思ってくれていたのだ。
「確かに、悔しいけど、実際に冬美先生の狙い通りになったと思います。でも、それは私が、花ちゃんや健太くんにアドバイスをしてあげたからです。私があの子たちに何もできなかったら、どうするつもりだったんですか?」
「そんな事は考えなかったわ。私、あなたのこと信じてるから」
そんなの、ずるい……。ずっと認められたいと思っていた人に、こんなこと言われたら……。でも、だとしても……。
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