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「藤沢君、当番終わった?」
彼女は図書室の中に入ってこようとするが、先輩はそれを阻むように彼女の元へ行った。
「何?」
先輩は背を向けているので表情はわからないけれど、たぶん笑顔じゃない。発する声が硬いし、冷たい。
私ならこんな声を出されたら、萎縮してしまうかもしれない。しかし彼女はそんなことは気にも留めず、藤沢先輩に笑みを向けている。
「私もちょうど部活が終わったところだし、一緒に帰りたいなって思って来たの」
そう言って、彼女は私の方を見てニッコリ笑った。
え、この笑みは一体……?
「ねぇ、もう終わったのよね?」
彼女は私に向かって尋ねる。私は条件反射のようにコクリと頷いた。有無を言わさぬその雰囲気に圧され、声が出すことができなかった。
なんなんだろう、この迫力は。ちょっと怖い。
そう思って顔を俯けると、先輩は彼女に向かって面倒くさそうに言った。
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