(5) 宝物

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「平井は委員の後輩だし、優先するのは当たり前だろ?」 「委員だけの関わりじゃない」 「前田もクラスが同じなだけだ」  前田さんの眉がピクリと上がる。そして、私をギロッと睨みつけた。  ヒィッ! コワイ!! 「ふーん、クラスメートより、後輩が大事なんだ?」  前田さんとしては嫌味のつもりで言ったのだろう。しかし、先輩には全く通じていない。  先輩は何をおかしなことを言ってるんだという表情で、前田さんを見た。 「世話になってる方が大事に決まってるだろ? 平井にはいつも助けてもらってる」  いや……助けてもらってるのは私の方だと思うけれど。  でも、先輩にそんな風に思ってもらっているとわかって、ちょっと嬉しい。 「平井」 「は、はいぃっ!」  いきなり呼ばれたので素っ頓狂な声が出てしまい、顔が火照ってくる。は、恥ずかしい……。
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