240人が本棚に入れています
本棚に追加
「すぐにオレも作業に戻るから、先に始めてて」
へ? 作業?
私は首を傾げそうになったが、先輩の顔を見てハッとした。
そうか、合わせろってことか。
私は「はい」と返事をして、前田さんには見つからないようにランプを抱えてカウンターの中へと避難した。
そして、別に急ぎでも何でもない作業をチマチマと始める。すると先輩は図書室を出て、扉を閉めた。
「……」
たぶん先輩は私を気遣ってくれたのだろう。でも、二人の会話が聞こえなくなったことで、逆に不安になってしまう。
先輩、大丈夫だろうか。もし私のせいでクラスメートと険悪になってしまうのなら、私は別に構わないのに。
そんなことを思っていると、先輩はすぐに図書室に戻ってきた。
「先輩!」
駆け寄ると、先輩は私の顔を見て小さく笑う。
「何て顔してんだよ」
「……揉めませんでした? 私、一人で大丈夫ですよ」
本気で心配になるくらい、さっきの彼女の剣幕はすごかった。
心配で先輩の顔をじっと見ていると、先輩はおもむろに手を伸ばし、私の頬をグニッと引っ張る。
最初のコメントを投稿しよう!