240人が本棚に入れています
本棚に追加
「……オレも注意するようにはするけど、全部に目が届く訳じゃないし、絶対言えよ」
先輩の目が真剣だ。本気で心配してくれているのが伝わってきて、私は息を呑みながら小さく頷いた。
心臓がドキドキしている。息が苦しい。でも、嬉しい。
「あと、前田のことは仲のいい友達にも話しておいた方がいいと思う」
仲のいい友達……真由ちゃんのことだろうか？
「何かあった時にわかる人間が、オレ以外にもいた方がいいから」
「……」
先輩がここまで用心深くなるということは、前田さんという人は相当厄介なのかもしれない。
ただ、私もこの件は一人で抱えない方がいいと思ったし、何かあった時に相談できる人は欲しい。だから、真由ちゃんに話していいと先輩から言ってもらえたことはありがたかった。
「先輩……意外と心配性？」
重くなった空気を変えたくてそう言ってみると、先輩は私の予想と反する顔を見せる。
最初のコメントを投稿しよう！