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「もう暗くなってきてるし、危ないだろ。それに、前田と帰るのは絶対無理」
「……そうなんですか?」
「話すことなんかない。間が持たない」
うーん、確かに前田さんと先輩じゃ、共通の話題がなさそうだ。でも、前田さんはきっと先輩のことが好きで、だから一緒に帰りたかったんだと思う。
「平井、早く」
「あ、はい!」
私は慌てて帰る準備をする。先輩から貰ったお土産を、丁寧に紙袋に入れた。
ドライフルーツの可愛らしいパッケージ、そして何より、先輩がわざわざ私のために作ってくれたランプシェード、それらを見つめながら思った。
私は学年が違う。こうやって話したりできるのは、委員や当番の日、そしてその帰り道だけなのだ。その貴重な時間を誰かに渡すのは、絶対に嫌だ。
──私も、藤沢先輩が好きなのだから。
帰る準備を終え、私は自分の想いを心に秘め、先輩を振り返った。
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