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「真由ちゃん、手伝ってくれる?」
「……重そう」
「重いよ。だから、いっつも先輩がワゴン押してくれるんだよね。でもさっき真由ちゃん、先輩の代わりって言ったよね?」
「う……」
真由ちゃんは言葉に詰まるが、フゥと息を吐くと、しょうがないなぁというように笑った。
「いいよ、手伝うよ。どうせ暇だし」
「彼氏さん、やっと受験が終わったのに構ってくれないの?」
「そんなこともないけど、やっぱり自分の友達も大事でしょ? 遠方に行っちゃう人もいるみたいだし、そこは譲ってあげないと」
なんだかんだいって、真由ちゃんはこうした気遣いのできる子だ。彼氏さん、幸せ者。
「でも、ちょっと寂しいでしょ?」
様子を窺うようにして尋ねると、真由ちゃんはあっけらかんと首を横に振った。
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