(5) 宝物

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「真由ちゃん、手伝ってくれる?」 「……重そう」 「重いよ。だから、いっつも先輩がワゴン押してくれるんだよね。でもさっき真由ちゃん、先輩の代わりって言ったよね?」 「う……」  真由ちゃんは言葉に詰まるが、フゥと息を吐くと、しょうがないなぁというように笑った。 「いいよ、手伝うよ。どうせ暇だし」 「彼氏さん、やっと受験が終わったのに構ってくれないの?」 「そんなこともないけど、やっぱり自分の友達も大事でしょ? 遠方に行っちゃう人もいるみたいだし、そこは譲ってあげないと」  なんだかんだいって、真由ちゃんはこうした気遣いのできる子だ。彼氏さん、幸せ者。 「でも、ちょっと寂しいでしょ?」  様子を窺うようにして尋ねると、真由ちゃんはあっけらかんと首を横に振った。
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