2章:自分なりの答え

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テストや絶対に聞かなくてはならない講義以外は行かなくなった。最初は卒業のためと思っていた。留年はしたくないからである。 早く卒業したい。卒業のためなんて思っていたが、気づいたらもう完全に大学へ行かなくなってしまった…。 携帯電話代は両親が払い続けてくれていたため、止まることはなかった。私としては止まってくれた方が良かったのだが…。 そのせいで、大学から着信がたくさん着てしまうため、大変迷惑な話である。 最初の頃は絶対に大学へ行きたくなかったため、上手く理由を作って断っていた。 そのうち、電話に出るのさえも面倒臭くなり、そのまま、黙って休むことが増えた。 いつものように、黙って無視しようかと思っていたが、今日はいつも以上にしつこく電話がかかってきたため、もうこれは仕方ないと思い、電話に応じることにした。 「もしもし…」 「もしもし。来栖美緒様のお電話でよろしいでしょうか。私、花城大学の事務の者です。 今日は来栖様にお伝えしたいことがあり、こちらからご連絡させて頂きました。 今、少しだけお時間を頂いてもよろしいでょうか?」 大学とのやり取りをもう二度としたくなかったため、手短に終わる道を選んだ。 「大丈夫です…」 「貴重なお時間を頂き、ありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、もう出席日数が足りておりません。このままお休みを続けていきますと、留年という形になってしまいます。 今ならまだ間に合いますので、出席日数を稼ぐために課題をやるか、或いは諦めて留年するかの二択になります。来栖様には留年なされるのか、課題をやり出席日数を稼ぐのか、決めて頂きたいのですが…。 まだご決断されるまでに期限がございますので、期限内にご連絡頂ければと思い、こちらからお電話させて頂きました」
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