2章:自分なりの答え

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           * 大学の構内で私が歩いていても、私のことを気にする人は誰もいなかった。人の噂は四十五日までなんていう言葉がある。まさしくその通りだった。 噂なんてすぐに新しいものが出てくる。気づいたら忘れ去られ、話題なんて転換されていく。 それでも私は、数々のバッシングを受けた傷は消えない。その傷は一生癒えないのだと思う。 楽しそうに青春を謳歌しているその光景が羨ましいと思った。 俳優なんて目指さなければ今頃、もしかしたらこんな青春を過ごせていたのかもしれない。 俳優を志したことが悪いわけじゃない。本当はそんなこと、わかっている。周りを顧みず、自分のことばかり考えていた自分が悪い。 だから困った時に頼れる友達や家族がいないのかもしれない。 私を見てくれている人なんていなかった。いつも私は兄や妹より下に見られ、私は私なりに頑張っているのに、認めて貰えないことに憤りを感じていた。 まだその頃の私は、両親に私という存在を認めて貰いたかったのかもしれない。私だってあなた達の娘だと…。 時が経てば考え方も変わっていき、次第に卑屈な性格になってしまった。 反抗してみようかと思ったりもしたが、その頃から妹は既に圧倒的な存在に君臨していた。 我が家で妹に逆らえる人間はいなかった。 私は家を出て、外の世界に出られれば、私を認めてくれ、私を受け入れてもらえるとばかり思っていた。
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