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ある時、私にあたしはこう言った。
『ねえ貴女。よく考えたらこの利点、活かさない手はないんじゃない?』
なにがよ、と私は真意を図りかねて訊く。…正直、“あたし”の考えがわからないのは初めてだった。
彼女は珍しげにしてヒュウと口笛を吹くと、
『だからね…私たち、同じ顔に同じ性格、髪の毛1本まで一緒じゃない?』
「あー、そうね」
少し…いや。大体よめた気がする。
『つーまーりー、私が貴女の仕事を肩代わりして、貴女はやりたいことをやればいいの。適材適所ってことよ』
わけがわからないという方々に注釈を入れると、だ。私はある中小企業に勤めているのだが、人間関係がうまくいかず、仕事もプレゼンがあるというのに…恥ずかしいことだが手につかなかった。そんなとき現れたのがこいつだ。当初は考えが及ばなかったが、なるほど“あたし”になら任せられる。なにしろ仕事を楽しそうだと、私を見ても胸を張ってそう言えるのだから。
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