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「俺の実家も海の側でさ、子供のころから海で泳いでいたけど、飽きないけどなぁ」
「……大好きなのね、海」
「好きだよ?ナミはどうなの、嫌いなのか?」
あたしは海を眺め、大好きな彼を釘付にする恋敵を遠く眺めた。
「うん、今は嫌い」
「えー、今はぁ?」
恋敵を好きだという人はいないと思います。
でも、そういう気持ち彼はとっても鈍感なのできっと分かっていないんだ。
言ってやろう。あたしと海と、どっちが好きなのって責めてやろう。
「あたしの事なんてほっぽって、あんたは海のナミばっかり追いかけているし。そりゃ、嫌いにもなるでしょ?」
「じゃぁ俺達三角関係だ」
「……はぁ?」
彼の思わぬ言葉にあたしはちょっと戸惑った。
「俺はナミに見ていてもらいたいのに。ナミは海の方ばっかり睨んでるわけだろ」
「何それ、あたし海なんて見てません」
「ナミと一緒に海が好きって、そう言えたら相思相愛なのに」
「何それ、……間に海を挟まないでよ」
彼はまっすぐに海を眺めていた。
「……好きだよ」
三角関係なら、彼が海に好きな感情は一方通行で、それは恋だという事。
じゃぁ、それが愛になっちゃったらどうなるのかって?
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