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2、たとえ元号が令和に変わろうとも、GWの忙しさは変わらない。
バスの運転士にとってGWとは――修羅場である。
そう古事記にも書いてある(大嘘)。
修羅場とまでは言い過ぎかもしれないけれど、忙しさはかなりのものだろう。
なんといっても輸送が盛りだくさんなのだ。
もちろん、赤い日は休日ダイヤに化けるのでダイヤの数は平日よりも遥かに少ないのだけれど、その分臨時が多くなる。
東に山の輸送があれば、西にオープンキャンパスの輸送があって。
北にハイキングの輸送があれば、南に芝桜の輸送がある。
だから、下手な平日よりも人が必要だったりする。
もちろん、年休を入れてはいけないなんて明確なルールはないけれど、余程の用事がなければ入れないのは暗黙の了解だ。
なかにはGWだからとかではなく、通常運転で年休を入れる人もいるし、輸送に協力的ではなく公出を一回もしない人だっている。
それが悪いとか悪くないとかではなく、それが現実というやつなのだ。
え、俺?
もちろん地獄の十三連勤ですがなにか……。
あとは鳴りを潜めていたサンデードライバー様が急増するので、いつも以上に神経を使うのである。
彼ら彼女らは急な割り込みはお手のもので。
ノーウィンカーで右左折をしたり。
何もない道なのに急にスピードを落として、ハザードもたかずに停まったり。
バスがバス停から発進しようと右ウィンカーを出しているのに、平気で抜かしていったり――それはいつも通りか。
ともあれ、こうしてGWは始まるのである。
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