2、たとえ元号が令和に変わろうとも、GWの忙しさは変わらない。

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 四月二十七日(土)  そう今日はみんな大好きGWの始まりとともに土曜日である。  祝日ではない土曜日ということで。  本日は土曜日ダイヤ――つまり大学があるのである。  だからなんだという話ではないけれど、今日はダイヤなので大学と駅とを怒濤の七往復という地獄が待っている。  なに、嫌がらせなのって感じだ。  しかも、座席いっぱいぐらいならばいいが、超満員なんだよな、これが……。  という訳で、六時半頃。  早朝はまだ肌寒いこの季節。  こんな時間からバスを運転して、帰れるのは真っ暗になった後である。  一本目は駅へと向かう実車だ。  前代未聞の十連休ということもあり、普段の土曜日よりもバスに乗っているお客さんは少なかった。  多摩産業バスを利用するお客さんはきっとホワイト企業に勤めていらっしゃるのだろう。  まったく羨ましい限りだ。  とは言っても、公共交通機関は十連休だから運休します――ともできまい。  誰かがやらなければならない仕事なのである。  だから、今日も頑張ろう!  そう決意を新たにして。  直通の大学行きの乗り場へとバスをつける。 「なん、だと……」  ただいまの時刻は七時を少し回ったところである。  なのに、乗り場には長蛇の列ができていた。  大人気アトラクションである。  待っているお客さんの数は軽く百人以上だ。  いつもは十人前後しかいないのにどうして、どうしてなんだ……。  と疑問に思っていたが、その疑問はすぐにわかった。  運転席の左側の少し高い席に座った学生さんが何も言わずに教えてくれた。 『英〇三級 試験対策』  そう、みんな大好き〇検である。
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