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「時任一族は、死神の一族や。生を司り、そして死を司る一族や。俺らは感情で死に向き合ったらあかんのや。ただ冷静に、死神としての職務をこなさなあかん」 「柊兄……」 「楓、お前は一人ちゃうで。俺も、柊もずっとお前を待ってたんや。ずっと探してたんや」 「柾兄……」 「楓、お前の初仕事や、お前が選べばいい」  柊は、その能面のような顔を僅かに緩め、年長者として言い放つ。 「市合は協力者や。そやけど人の生死にそんなもんは関係ない。いちいち聞いてたら秩序が失われる。それでも……それでも、市合の息子を助けたければ、帳尻合わせに取らんでいい命をとらなあかん。よく考えや。それでお前が決定したことには、否定せん」  市合はただ黙ってコーヒーを飲んだ。何もかもを、全てただ一人の少年に委ねて……
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