日本の芸能界祓魔広報課

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 本物のヤクザがうろつく芸能人。  不味いだろう。流石に。 「黒い交際は不味いんじゃないか?むしろ祓魔課が絡んだのはもっけの幸いだと思うが」 「それは誰のことですか?物怪(もっけ)?化け物ですか?私が?」 整った怜悧な顔がずいっと寄せられた。 「いや、そう言うわけでは」 「鬼の目にも涙。鬼の撹乱。鬼の居ぬ間に洗濯。昔からそう。鬼というだけで、貴方達は私を排斥するのね。憎い。全てが憎い」 凄い面倒臭いのがいた。 「彼女はそういう女だ。昔男に振られて以来、ずっと憎んでいる。今では殆ど全ての者に別け隔てない憎しみを」 「そんなことよりも、どうしましょう。送り込まれた以上、何かしないと。延々と彼女の恨み節を聞かされるのは困る」 「彼と同じことを言うのね。君も彼と同じことを。幼稚園児時代の恨みなんか忘れろって。憎しみこそが私の原動力なのに。憎しみを糧に生きてきただけで、人を執念深い蛇みたいにいうのね。身近にいる毒蛇人妻は幸せいっぱいな結婚生活を満喫しているというのに。何が違うの?私と彼女は?」 確かに美人であるが、何故だろう。さっきから彼女の背後にずっと般若の面が浮かんで見えるのは。 「美鈴は今年の夏フェスに出演するらしい。そこで君達に協力を依頼したい」 「え?この人の恨みを晴らしたら成仏しちゃいそうですが」 「そんなこと出来るはずもない。恨みは彼女の全てだ。お願いしたいのは彼女のプロデュースだ。そろそろ新曲を発表せねばならんのだ。前作の「怨んでおります」は未だ売上5000枚程度。テコ入れが必要だ。美鈴はカミングアウトをすると決めたらしい。どうか、美鈴を頼みます」 鬼頭は頭を下げた。カツラがずれそうだった。
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