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狐の親子とお漏らし
警察庁祓魔課の歌姫
茹だるような夏の暑さがあった。
気象庁によると今年は数年ぶりの猛暑であり、熊谷市などは43度を記録、東京都内も連日40度を超える酷暑の夏となっていた。
早急にリフォームが為された道玄坂の勘解由小路邸のガレージもサウナのような暑さだが、リムジンの中はとても快適な環境だった。
後部座席でシャンパンを飲んでいた勘解由小路は、後部座席に入り込んだ小さな娘の姿を認めた。
「何だ。莉里じゃないか。クティーラと家内探検は終わったのか?」
シャンパングラスを置いて右側にまとわりつく娘の頭を撫でて言った。
「うん。あんまり大したものなかったのよさ。でも楽しかった。莉里にとって悪くない夏休みだわさ。パパは何してるのよさ?」
「買ったっきりになっていたCDを録音していたんだ。カロッツェリアのHDDレコーダーは録音に時間がかかるのが難点でな」
「やっぱジャズなのよさ?」
「ああ。真琴の好みで歌入りのCDがな。Akikoはいいシンガーだ。枯葉がいい。季節感でいうとちょっと早いが、間奏のスキャットは何とも色があっていい。ぷいきゃーのCDも入ってるぞ。今は聞けんが」
「パパが好きなジャズは莉里も好きなのよさ!ダークアイズは好き!鼻からホニャーって言ってたのよさ!意味は解んないけど」
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