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ユウジが言った。
ネコの足跡と言っても、いわゆる家ネコの足跡にしては、一回り大きい足跡である。
この村の近くで突然現れた謎の巨大ネコの足跡だ。
巨大ネコは、雑食であり、あたりの農産物をあさったり、家畜を襲って食べたりする。巨体の割には、ネコらしく身軽で動きも速い。とてもやっかいな害獣である。
「それにしても、最近家畜が襲われるケースが増えているな」
アイマックは、足跡を調べながら言った。
「しかも、いくつか大きさの違うもの、微妙に形が違うものが混ざっている」
「複数いるってことか?」
アトラがアイマックに尋ねる。
「足跡を観察すると、そういうことだと思う」
「このまえ、コーザさんが子供連れのネコがいるって言っていたじゃないですか。もしかするとそいつらかもしれません」
ユウジが言った。
「もしかすると、ネコたちの発情期なのかもしれないな」
ユウジもアトラも固まる。
「恐ろしいこと、言うなよ」
アトラが言った。
「だが、普通の家ネコには発情期がある。あの巨大ネコにも発情期があっても不思議ではない」
「そ、そんな。ただでさえ、やっかいなのに、それが増えたら余計にやっかいじゃないですか」
ユウジが言った。
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