第一話

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 ユウジが言った。  ネコの足跡と言っても、いわゆる家ネコの足跡にしては、一回り大きい足跡である。  この村の近くで突然現れた謎の巨大ネコの足跡だ。  巨大ネコは、雑食であり、あたりの農産物をあさったり、家畜を襲って食べたりする。巨体の割には、ネコらしく身軽で動きも速い。とてもやっかいな害獣である。 「それにしても、最近家畜が襲われるケースが増えているな」  アイマックは、足跡を調べながら言った。 「しかも、いくつか大きさの違うもの、微妙に形が違うものが混ざっている」 「複数いるってことか?」  アトラがアイマックに尋ねる。 「足跡を観察すると、そういうことだと思う」 「このまえ、コーザさんが子供連れのネコがいるって言っていたじゃないですか。もしかするとそいつらかもしれません」  ユウジが言った。 「もしかすると、ネコたちの発情期なのかもしれないな」  ユウジもアトラも固まる。 「恐ろしいこと、言うなよ」  アトラが言った。 「だが、普通の家ネコには発情期がある。あの巨大ネコにも発情期があっても不思議ではない」 「そ、そんな。ただでさえ、やっかいなのに、それが増えたら余計にやっかいじゃないですか」  ユウジが言った。     
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