不確かな彼女

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不確かな彼女

一章 「明日から夏休みです。生徒の皆さんは――」  終業式が終わり、教室に戻り先生が話している。同級生たちは先生の話など聞かず、友達同士夏休みの計画立てに忙しい。 「宿題多いのかなあ」「来週遠出して遊園地行こうよ」「海行こうぜ」「俺、平日は塾で潰れる……」。様々な期待や不安の声が教室中から聞こえてくる。  みんながやたら張り切っているわけは、高校生になって初めての夏休みだからだろう。高校生になってバイトを始めて、友達とバイトの休みを取って遠出するのはワクワクするものだ。僕はバイトをしていないがそんな気がする。 「――なにか予定あるの?」「ねえ、聞いてる?」  頭の中でいろいろ考えていてなにも聞いていなかった。 「なに?」 「夏目くんは夏休みなにか予定あるの?」  八千草千景、隣の席の女の子だ。席が隣になってから挨拶程度のことしかしていなかったので話しかけられて少しびっくりした。 「どうしたの?」 「ああ、いや、なんでもないよ。僕は寝て起きたら夏休みが終わるような日々を過ごしそうだ」 「私と一緒だね」     
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