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ずっと、ずっと傍にいたいの。
遼ちゃんと手を繋いで色んなところに行きたい。本当は、それだけでいいのに。
それがダメなの? 許されないの?
遼ちゃんは、先生で、あたしは生徒。でもでも! 遼ちゃんはあたしにとって先生じゃないの。
先生じゃないもん!
泣きそうになっちゃいました。
あたしは隣に座る河井先生にバレないように小さく首を振った。
ひより、こんなとこで泣かないよ。
心の中で自分に言い聞かせて、今いる病院の待合室の中をきょろきょろ見回した。受付のお知らせ板に目が行く。
〝本日は、医科歯科大の学生が見学に来ております。
診察を見学させていただきますので、よろしくお願いします〟
貼られていていたお知らせに、あたしは、あれ、と思った。
医科歯科大って、確か緒方さんが通ってる大学。
見学に来てる学生さんって、緒方さんだったりして。……そんな偶然、ないよね。
そっと肩を竦めたあたしの隣で河井先生がクスッと笑った。
「面白い出会いがあるかもよ」
「え?」
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