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河井先生を見ると意味深な笑みを浮かべてあたしに頷いていた。
河井先生?
首を傾げた時、診察室から「宮部さーん、診察室へお入りください」と呼び出しが掛かった。
診察室の中に入ったあたしは、思わず「あっ」と声を上げた。
「緒方さん……」
「こんにちは。カルテみて、あれって思った」
診察室で、デスクに座るお医者様の横に立っていた白衣姿の緒方さんがにっこり微笑んでました。
麗しのお医者様姿の緒方さん。今日は眼鏡掛けてます。何故か、心臓がドキドキ。
「あ、あの、えっと、あ、こんにちは、ですね」
あまりにも優美な笑みをまともに見てしまってあたしはしどろもどろなご挨拶をしてしまう。河井先生を見上げると、先生は知らん顔で白髪のお医者様と緒方さんにお話しし始めた。
「いつもうちの生徒がお世話になってます。今日はですねーー」
河井先生、いつもの学校でのちょっと……チャラ、い? ……感じとはうって変わった真面目なお姿、お話方。
「ふむふむ、ではこちらの生徒さんの捻挫の治癒具合を診て欲しい、というところだね」
先生の言葉に「はい」と応えた河井先生、あたしをチラッと見て、意味ありげに微笑んだ。
「小柄だし体重も軽いから足に掛かる負荷はあまり無いと思うんだけど、どうも毎日誰かに会う為に休み時間毎に走って移動しているみたいで……」
「ほおほお」
「せ、せんせい!?」
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