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な、なにを言い出すんですか!
あたしが慌てて両手をバタバタしていると。
「先生」
静かな声が、盛り上がろうとしていた二人の先生を止めた。
優雅で美しい大天使様のような微笑みを浮かべている緒方さんに、白髪お医者様「おお、いかんいかん」と肩竦めた。
「わしゃ、いつも緒方君に怒られとる」
「怒ってはいませんよ。ただ、脱線が過ぎるとよろしくないと感じましたので、お止めしました」
柔らかで静かなお声。空気を丸く包んで、優しい空間にしてしまう。
緒方さんて……、
ぼうっとなりそうなあたしの耳に、河井先生がそっと囁く。
「惚れてもいいよ」
「えっ!?」
驚いて変な声を上げてしまったあたしは慌てて口を両手で押さえた。
どういう意味?
目を丸くして河井先生を見てると。
「ひよりちゃんは、足を診てもらう事だけ考えてね」
優しい声があたしを包む。顔を上げると、緒方さんは何事も無い様子で診察の準備を始めていた。
看護師さんに指示されて、座っていたベッドに足を伸ばしている時、緒方さんがちょっぴり厳しいお顔をして河井先生に何か小声で話しているのが見えた。
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