第一章

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 人は死に鈍感な生き物だ。生と死は常に隣り合わせだというのに、繰り返される代わり映えのない毎日に麻痺し、死を忘れてしまう。自分や周りの人間は無敵だと無意識に定義し、現状は悠久だと錯覚する。人が幻覚から覚めるのは身近な人や、いつもの日常を失った一時のみ。長い長い時間の流れの中で人は再び幻覚に囚われていく。  人はいつ何が起きるか分からないという、当たり前を気付かせてくれた貴方の事を……私はずっと忘れない。
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