怪しくない隣人

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怪しくない隣人

私が住んでいるアパートの部屋の隣の人は・・・。 いつも自分の部屋にいる。 ずっと部屋にいる。 24時間も。 ずっと寝ないでいる。 宇宙人? 実際、そのようである。 昔、地球征服をくわだてていて、自分は普通の地球人を装ってとある家に住んでいた。 だが、その隣の家の少年が目撃していて、自分が24時間起きていると怪しまれ、そこから地球防衛軍による捜査の手が伸びていき、そして計画は失敗に終わった。 そればかりか、仲間の乗っていた宇宙船まで破壊され、自分は置き去りにされた。 そして、あちこち巡り歩いていって、今は私の隣の部屋で落ち着いている、ということである。 私はというと、あまり人付き合いの多さを望むほうでなく、目的もなくその隣人の部屋に会いに行ったりすることはない。 まあそれでも、私自身、たまに外出することはあり、その間に届いた宅配便の荷物を預かってくれたりする。 確かに、こういう隣人がいると、再配達の手間がかからなく助かるんだろうけど。 他には、気に入らないセールスマンを追い払ったりもしてくれた。 そういう感じで、深く仲良しになるでもなく、極端に疎遠な状態でもなく、ほどほどに付き合っているということである。 何というか、地球を守るためには、宇宙からの侵略者による攻撃に対抗できるための兵器開発だけでなく、互いに信頼し合うことも大切である、ということで。 だけど、1つ気になるのは、地球防衛軍からの追っ手が来たりしないだろうか、である。 今も残党狩りが行なわれていて、もし見つかったら、またどこかへ去っていってしまうのではと。 私自身に危害が及ぶことはないだろうけど、そのときになったらどうなるのだろうか。 そのときはそのときになってから考えることにしている。 あるいは、その隣人によるかつての地球征服、そしてその後の出来事がドラマ化されていたら、私自身が得することは・・・特にないか。
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