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御陵の断薬と離脱:後編 ――減薬から断薬へ――
さて、前半に続き、御陵のメンタル闘病(?)の記録です。
2015年当時、抑うつ状態ということで、身体症状を緩和するために処方されたのが、前回のお話の中で書いた、二つの薬。
つまり「リボトリール」と「サインバルタ」でした。
残した記録を調べてみると、最初に処方されたのは、2015年5月27日。
・リボトリール:50㎎(1錠)/日
・サインバルタ:60㎎(3カプセル)/日
こうして御陵は薬物の服用を始めたワケですが、期間は概ね50日間。
最初は、「ふーん、こんなもんか」という感じでしたが、二週間ばかりで体調が変わってきました。
効果はあるようなないような。
ですが、離脱(副作用)は確実にありました。
飲んでいる時の離脱がキツかったのは、リボトリール。
断薬してから辛かったのは、サインバルタの方。
リボトリール服用中は、とにかく猛烈に眠くなって。
それが厳しかった……。
また体の軸が狂ったような、筋力の低下を自覚しましたが、それは「筋弛緩剤を服用している」という自己暗示があったかも。
一方サインバルタには、症例は少ないものの、公式の報告書にも記載されている、恐ろしい副作用が。
それは、「性的機能不全」。
……ああ、不毛。いや、この場合不能か。
しかし、御陵が断薬を決意したのは、そんなコトが理由ではなくて、もっと他愛もない理由です。
薬物の服用を初めて二か月ばかり経った7月のある日の朝、御陵はうかつにも薬の服用を忘れてしまいました。
そうしたら、覿面に現われたワケです。
……「禁断症状」が。
痛いとかそんなではなくて、気分が悪いとも違う頭痛とも異なる、とにかく「苦しい」としか表現のしようのない異様な感覚に苛まれまして。
……ああ、昔の刑事ドラマなんかで出てきた「シャブ抜きの苦しみ」とはコレか、みたいな。
当日は出社でしたが、勤務を半日で切り上げて、薬物を摂取しました。
そこで禁断症状は治まりましたが、御陵は確信しました。
「こいつはアカンやつや。やっぱり脳に直接作用する薬は、ロクなもんじゃない」と。
そういう訳で、御陵は密かに断薬を決意したのでした。
とはいえ、一回飲み忘れただけで死ねる状態の薬物依存状態(ジャンキー)御陵。
急にやめる(いきなりやめたら死ぬ)ワケにはいかないので、いろいろネットで渉猟しました。
主治医への相談も考えましたが、ネットの情報と主治医の薬の出し方から考えると、どうやら主治医は薬物には詳しくないようでした。
とはいうものの、こんな「アカンやつ」とは一刻も早くご縁切れしなくては。
というコトで、御陵は無謀を承知で断薬に踏み切りました。
この手の薬は、日々の服用量を少しずつ減らして(減薬)、最終的には服用をゼロにします。
御陵の服用していた薬物は二種類。
さて、どちらから減らそうか……?
減薬を始めるとき、キーになるのが、その薬の「かたち」だったりします。
処方される薬は、あらかじめ製薬会社が量と形を決めています。
薬品は、工業製品ですから。
断薬は、そのデフォルトの処方量と形を割り込んで減らしてゆくので、自分で量を変えられる薬が断薬に適しています。
その意味で、一番断薬しやすいのは粉薬。
秤か薬匙があれば、自分で加減できるので。
次が錠剤。
御陵は持っていませんでしたが、ピルカッターという器具があるそうで、自分で錠剤をカットして量を調整できます。
で、一番厄介なのがカプセル。
これはもう自分で内容量を調整できないので、服用するカプセルの個数を減らすしかありません。
そういう訳で、御陵が断薬の標的にしたのは、与しやすい錠剤のリボトリール。
記録によると、ペースは以下のとおり。
・~2015年8月9日:50㎎(一錠)/日 服用
・2015年8月10日~8月26日:25㎎(半錠)/日 服用
・2015年8月27日~:0㎎/日 服用なし→断薬
この間、一応サインバルタは通常どおりに服用しています。
以降、今日に到るまでリボトリールの服用はなし。
たぶん、自覚できるほどの離脱はでていないと思います。
リボトリール断薬は成功なのでありました。
かくして、残る薬物はサインバルタ。
しかもカプセル状なので、個数調整以外に手がない、非常に厄介なアカンやつ。
調べたところ、カプセルを割って、粉を服用するという手もなくはないのですが、薬の性質上、服用者の胃に到達する前に大部分が分解してしまうらしい……。
そのため、カプセルで保護しているのだとか。
そんなワケで、リボトリール断薬から様子見の15日間を空けて、サインバルタの減薬を開始しました。
記録では、以下のとおり。
・~2015年9月11日:60㎎(3カプセル)/日 服用
・2015年9月12日~9月25日:40㎎(2カプセル)/日 服用
・2015年9月26日~9月30日:20㎎(1カプセル)/日 服用
・2015年10月1日~:0㎎/日 服用なし
カプセル数を減らす前後は体調の変化に注意していましたが、「シャブ抜き」のような感覚はなかったので、上記のような段階を経て、断薬にこぎつけました。
……お断りしておきますが、御陵のサインバルタ減薬―断薬のペースは、異常なハイペースです。
(実際は1年以上かけて減薬する場合もあるらしい)
かなり無理があると思いますので、このペースをそのまま真似するのは、恐らくかなり危険かと……。
事実、サインバルタの離脱症状は、断薬から4年を経た今でも、未だ御陵の体に一部残っております。
サインバルタの特徴的な離脱症状に、「シャンビリ」と呼ばれるものがありまして。
これは、目を動かすたびに、「シャンシャン」というような金属的な耳鳴りがして、体がびりびりするという感覚異常。
サインバルタ服用者の間では非常に有名な離脱症状なのですが、これはもう言葉で説明するのは不可能な、名状しがたきシロモノ。
……実はコレ、未だに残っているのです。
御陵の体に。
寝入り端とか、疲れて睡魔が寄ってきている時とか、浅い眠りから覚めた時とかに、「シャンビリ」が襲ってくるという……。
特に昼寝の前後は間違いなくコレが来るので、御陵は昼寝を避けております。
……どうして未だに離脱が残るのか?
いろいろ調べてみました。
御陵の無謀なペースも関係があるかも知れませんが、サインバルタはかなり特殊な薬のようで、脂溶性を持っております。
一旦服用すると、例え断薬をしても、体内脂肪に微量ながら蓄積されてしまう、とか。
皮下脂肪、内臓脂肪、それに大脳も脂質を多分に含むという話もあり、断薬後も常に残留サインバルタの影響を受け続けているのかも。
また、この手の脳に直接作用する薬物は、脳の神経配列を造り替えてしまう、と御陵は思っております。
やはり脳に直接作用する薬というのは、「アカンやつ」と断じて間違いないと思うのです。
体験者が言うので、間違いない。たぶん。
自白の最初の方で、御陵の長男が自閉症だということはカミングアウトしました。
実は、この手の薬、自閉症の方に処方される場合があります。
確か「ジプレキサ」とかいう薬などですが、こういう処方に御陵は深い疑念を持っております。
その辺りの御陵の本音は、まとめて別項で。
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