御陵のお仕事:本業のこと

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御陵のお仕事:本業のこと

 さて、御陵の正体を構成するパーツの一つ、お仕事について。  御陵の本業は、ある大手企業の事務員です。  組織的には、試験研究部門に附属する総括部署。  ただし、御陵は完全に文系人間なので、研究要員ではありません。  現在の御陵は、間接100パーセントの事務要員で、御陵の部署百数十人の面倒を見る、いわゆる「何でも屋」です。 (昔のドラマ『ショムニ』に近いかも)  それこそフロアの電球の付け替えから、新人向けPCの手配。  弁護士とのつなぎや契約書作成もすれば、海外企業との英文メールやりとりまで、何でもアリアリ。  最近は、上司というか二人三脚の偉い方の指示で、取引先との受発注管理がメインに。  受発注書や関係書類は、御陵が作成。  これでも一応、現役の企業法務実務経験者なのです。  (資格は何もありませんが)  で、少し前まで、会社の代表電話が御陵の部署にありました。  まあ外部からいろんな電話が掛かってきておりまして。  マンションや株式購入の勧誘やらイタ電。  スゴかったのは、ヤクザの借金取り立て電話。 『寿司送るぞ、ゴルァ』なんて電話を本当に受けたり、御陵の部署の電話十台が一斉に鳴ったことも。  そのときは、若い女の子がパニックになりました。  税務調査関係も御陵の部署の役割で、何回か国税調査の対応もしています。  ちなみに、職場での御陵の得意技は、印紙税課税額の判断。  九割五分くらいは正しく判断する自信があります。  ……どうでもいいですが。  そういえば、法人税監査が入った時のこと。  対応に当たった担当者の余りの手際の悪さ、というか受け答えのいい加減さに、国税調査官から 「あんたがたは国税を舐めとんですか!?」  とのお言葉を賜ったとか。  まあ御陵ではないですが。  とにかく御陵の部署は、いろんなひとがいろんな話を投げ込んでいきます。  その中には、きちんと仕分ければスゴい手柄になる「リサイクル可能」なものもあれば、決して手を出してはいけない「放射性廃棄物」のような話もあって。  御陵は自部署を称して「業務のゴミ箱」と呼びなす次第。  毎日やることが違うスリリングな部署ではありますが、何だかとても疲れる……。 ※2019/6/18 追記    職場での御陵は、おおよそ五分に一人くらいの割合で、誰かが来ます。 「あのー、御陵さんは担当じゃないと思うけど……」 (なら来るな! とはとても言えないチキンな御陵)  とにかく職場ではひっきりなしに、部署の人が助けを求めてくるので、仕事が終わると話し疲れ、ぐったりの御陵。  本当は家では誰とも話したくなくて、独りで静かにしていたいのですが、そうは問屋が卸さない……。  家に帰ると、今度は家族三人がこれまたひっきりなしに話しかけてきて。  しかも三人が三人とも違う内容を一度に話すので、それぞれに答えるのがすごく大変。  結局、深夜のわずかな時間だけ、静かに書き物に集中できるのでした。
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