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土曜日の昼下がり。
外は太陽がジリジリと照りつけていて暑いけど、お部屋の中はクーラーが効いてて快適。
懐かしい紅茶の匂い。
甘さとバターの香りが混じった、出来たてパウンドケーキの匂い。
「うわああ....可愛い....。」
「なつりっていうんだよー。仲良くしてね? 」
「なつり?どんな字書くの?」
「夏に里でなつり。可愛いでしょ? 」
「へー。あんまりきかないね。」
「響きが可愛いかなーって。ひーちゃん、パウンドケーキできたよ? 」
「うんっ、あとで食べるー。」
ひーちゃんは、すっかり夏里に夢中だ。
小さい声で、夏里に「なっちゃーん」って呼びかけている。
もうすぐ、夏祭りの時期だ。
夏里は、まだ行けないかな?
来年なら、行けるかな。
その頃にはきっと、笑うようになってて。立てるようになってて。少しくらいなら歩けるようになってるだろうな。
ひーちゃんも、一緒に来てくれるかな。
「美沙ちゃん! なっちゃん、私の手掴んだ! 」
「あははは!やってることおんなじだねー。」
「え? どういうこと? 」
「ふふ。私と小さいひーちゃんの秘密。」
「なにー? 美沙ちゃん意味わかんないー。ねー、なっちゃんー。」
ひーちゃんは、嬉しそうに夏里に話しかける。
私はそんな2人を横目に、紅茶に口をつけた。
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