恋い慕う

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 それから一ヶ月が経ち、長谷のおかげでもう一度チャンスが訪れた。八月も終わりの頃。休日に三人で原宿で買い物をすることになったのだ。これも皆元と瞬を二人きりにさせる長谷のはからいだった。  皆元はLINEを見ていた。隣には腕時計で時間を確認する瞬がいる。それを横目で窺いながら長谷に返事を送った。 『こっちは大丈夫』 『了解。今から行けなくなったって電話かけるから、あとは頑張れよ』 『ありがと、長谷!』 『健闘を祈る!』  ――プルプルプル 「おう、長谷か? 今どこいんだ? 俺たち、もう待ち合わせのとこいるけど。は!? 用事ってなんだよ! マジかよ……分かった。ああ、またな」 「……長谷くん?」  瞬を見上げながら、空とぼけて訊く。 「ああ、なんか用事できたらしくて、今日これないんだってよ」 「マジかー! そっかー! それは残念だなー!」 「なんだよそれ。全然、残念そうにみえねーんだけど」  皆元の言動がちぐはぐで瞬はツッコミを入れてきた。 「そ、そんなことないよ!!」 「そうか? まあ、いいや。せっかく来たし買い物するか」 「うん!!」  瞬の後を付いていく。今にも嬉しくてスキップしてしまいそうだ。空にも昇る思いとはこういうことなのだろうか。視界に映る景色がいつもより美しく輝き、色鮮やかに映し出され、生きるってなんて素晴らしいんだと感動する。日頃、不満や愚痴ばかりをこぼしているのに都合がいい。  皆元の心中ではもしかしてこれはデートなのでは? と舞い上がり、それと同時に、相手からしたらただの買い物に過ぎないのだと自問自答する。  とにかく勘違いしてはいけない。ここからが勝負なのだ。自分の気持ちを大好きな人に伝えなくてはならない。しっかりとチャンスを窺うんだ。そして、それを掴んだら絶対に逃がすな。
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