一日目

2/3
前へ
/5ページ
次へ
ブーッ、ブーッ、 スマホのアラームがなり続けている。 何時までも止めないからか、スマホも段々疲れてきて音がノイズ混じりになってきたように感じられる。いや、そもそもアラーム音と一緒にバイブ音もセットしているため、本体自体がテーブルの上で動いているのだ。たまに入る変な音の正体はそれが原因だった。 余談はさておき、 怠い体を無理やり起こしてアラームを止めると、とんでもない風景が視界にとびこんできた。 「なにこれ」 自分が置かれている現実が暫く理解できなかった。というかこれは現実なのか、夢ではないのか。 見覚えのある机に、ロッカー、窓。 紛れもなくここは、私が数年前に卒業した中学校だった。 身体中が痛い。冷たい床に横になっていたらしい。 まさか二日酔いになって、自分の家に向かうはずが深夜の母校に侵入してそのまま朝を迎えたなんてことだったら、とてもじゃないけど笑えない。そうと決まった訳ではないが。 全身に痛みを抱えたままゆっくり立ち上がり、辺りを見渡してみるが、自分以外の人の気配を感じない。室内は薄暗い。時計の針を見ると、午前8時で止まっていた。 朝なのにこの薄暗さは異常だなと気味が悪くなる。 黒板の方へ近づいて見ると、小さい文字で何かが書かれていた。 “貴方に与えられたタイムリミットは一週間です。“ “思い出してください。この教室は貴方が中学校1年生の時に過ごした教室です。 これからいくつか謎かけを出題いたしますので、24秒でその答えを見つけましょう。ただし、万が一答えが分からなかった時はこの教室ごと貴方も一緒に消えてしまいますので、頑張ってくださいね。“ “問1、この教室に無いものは何でしょう“ 「は?」 時計の針がいきなり物凄い勢いで動き始めた。1秒で1時間のスピードだ。あっという間に正午、あと20秒。 黒板の近くにはチョークが無く、文房具やノートも一切置いていない。まさに無の空間だった。一人一人の机の中身を探している時間もない。教室の出入り口や窓には鍵が掛かっている。起きてすぐ死ぬのか私は…まだそうと決まった訳ではない。考えるんだ。考えるんだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加