2人が本棚に入れています
本棚に追加
私と友人との間に、友人が自分の大きな鞄を置いて反対に座っている友人らしき人に話しかけている。
さぁ。授業に集中しよう。
クスクス…ねぇあの人…
何日か経って、周りから視線を感じたり、や陰口が聞こえたりしてくるようになった。私はついに幻覚や幻聴が聴こえるようになったのか、将又、超能力が使えるようになれたら最高だよなと嫌な空気から必死に逃避しようと自分なりに前向きな現実逃避を試みる。
だがなんとなく、授業に集中できない。
ノートの隅にラクガキが増えていく。
「なぁ、おまえよくあいつと居られるよな」
別のイツメングループからそんなことを話しかけられる。
自称霊感のことかとすぐに察した。
嫌な空気で肺が満たされていく。
何か事情があって、私に警告したのか何かは知らないが、適当に受け流しながら私は自称霊感をイツメンと信じて過ごし続けていた。
もう一人は他のグループへ行ってしまった。
サークルにいる時のことだった。
「なぁ~聞いてくれよ、俺の彼女がさぁ~」
いつも以上に人目を惹くような洒落たファッションで現れた自称霊感は、嘆きながらいきなり小包みを見せてくる。
何があったんだと訳を聞いてみると
「俺、実は最近彼女できてさ~、今日が誕生日だから、食べるの好きらしいし、駅前のお菓子やさんでクッキー買ってってさ、ラッピングもお願いしてもらったのにダイエット中だからいらないって返されたんよ。あーまじへこむわ~」
とのことだった。お気の毒に…
ドンマイ。という気持ちで聞いていると
私は次の言葉に何かがプツンと切れるのを感じた。
「なぁ、このクッキーお前食べない?俺食べないからさ、よかったらお前にやるよ。」
この日から自称霊感とは距離を置くようになった。
俺は適当に利用されているのかな…こいつは俺のこと友達として認識してくれてんのかなとその時は思っていたかもしれない。
「俺が代わりに彼女役になってやるから、今日のそれ、再現してみせてよ。そしたらもらったげる。」なんて、冗談混じりの会話なんてものもできなくて
イツメンとよべるような関係にはなれなかった。
誰かと仲を深めて見たかったという消化しきれない思いがこの講堂にいると甦ってくる。
────「答えは、繋がりだ。」
講堂の分厚い重い扉がゆっくりと開いた。
最初のコメントを投稿しよう!