序章 地獄篇 

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目の前に広がる 近未来的なトンネル内より 何か小さなものが こちらへ 走ってきました 「あれは?」 まるで 幼児くらいの大きさ いや 実際 見た目も子供のように見えるが 五名ほど 何かに追われるように 無我夢中に 走っています 「木の子たちか? 何から逃げているのだ?」 彼女の言った木の子とはなんだ? いや それよりも話を進めましょう 逃げ惑う 子供の後方 つまり 環状道路の巨大なトンネルの奥より 何か真っ黒な蔦? いや 縄か? が 十数本 グーーーーんっと迫っています ああ 後ろの二人が その蔦に捕まったぁ さらにもう一人も それを見た 少女 一気に駆け寄って 前から走って来る子供二人を庇うように 迫り来る 黒い蔦に  一閃 ええ? 少女 いきなり背中に背負っていたらしき剣を抜くや その蔦を切り捨てようとしました が その黒い蔦 蛇のごとく 意識を持つものように その斬撃をスルリとかわして また 一人の子供を絡めとっては トンネル内へと戻って行きます 「お姉さん 早く僕を抱えてここから逃げて」子供の叫びが聞こえた瞬間 トンネルより 真っ赤な着物を着た女性らしき者が現れました 「何奴?」女子高生 が独り言をいえば 子供が「あれが 闇姫 僕らを皆食っちゃったんだよぉ」と泣き叫び 女子高生を置いてまた 逃げ出した子供に 真っ赤な着物を着たその物の頭から 数本の真っ黒な先程の蔦のようなものが一斉に 矢の如く 流れては 逃げた子供を捉えました それを目撃した女子高生 前髪をバサッっと上に靡かせては ん? 真っ白な光が彼女の全身から放たれて ふたたび 剣を振るい その蔦 いや 真っ黒な女の髪を切り捨てようと 一閃しました バシン が 「何? 馬鹿な 天雷鳴轟之剣(あめにとどろくいかづちのつるぎ)で 切ることができぬとはぁ?」 少女が独り言を言うのを聞いたのか 接近してきた真っ赤な着物の女  顔をあげてこちらを見ました 能面のような真っ白な顔(いや面を着けているのか?) そして 彼女の着る着物が 歌舞伎などでよく見られる 赤姫(真っ赤で派手な衣装 姫が着ると言う前提で作られている)の着物 黒い蔦状の物は そうです この赤姫の髪の毛のようです それが自身の意思を持つ蛇のごとく 鎌首をもたげて
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