序章 地獄篇 

5/26
前へ
/76ページ
次へ
神務庁の 警視 天眸 凶子(てんぼうきょうこ)と名乗った 女子高生 陽仰の鏡を さらに強い力で 付かんでは 「待て 闇姫とやら 貴様は 禍物 闇の眷族か?との問いにまだ答えてもらってないが」と言えば トンネル内へと 去ろうとしていた 闇姫 ふたたび振り返り 「向こう見ずなおなごじゃのぉ  ふふふそうじゃ 妾は闇様の一族 常闇一族じゃ 」と答えて 「そうそう あの木の子たちは 食らうと言っておったが あんな不味い物食いはせぬわ 妖力を吸いとるだけじゃ ここいらにはまだまだ おるのぉ生きのよい妖怪たちが ふふふ」と嫌らしい笑い声をあげるも 能面のような顔からは まるで表情が読み取れません 天眸 凶子 腰に着けていたポシェットより 勾玉を取り出しますも 「なるほど この程度の霊力では返り討ちにあうだけか?」と独り言 が その声を聞いたか  ふたたび トンネル内へと消えて行く 闇姫 「ほぉ 今度はなんの勾玉じゃ? アア 確かにそんな紛い物じゃあ なんの足しにもならんのぉ しかし 何故 あの闇様が たかが人間に封印なぞされたのか不思議じゃなあ 天眸凶子とやら 次 妾に刃向かうつもりなら もっと強い武具 もっと強い霊力を持って来なければ 一口で食らうてしまうぞえ ふははははーーーーーーー」 ああ なんとも陰鬱な低い笑い声が トンネル内より響き さらに トンネルより 天空へと消えて行きました いつの間にか  天眸 凶子と言った女子高生 前髪が右目に覆い被さって  全身から放っていた白い光も消えています 「完敗だ 木の子一人救うことも出来なかった そして なんだろうねえ あやかし 魔物 妖怪 もののけ退治のエキスパートだって言う この私が 背筋に冷や汗を いやいや 両腕に 鳥肌までたっていやがる これは 本部 神務庁へと報告 もっと修業 さらに強い武具を手にいれなければ 」と すぐ近くの駐輪スペースに停めてあったバイクに跨がり 天眸 凶子は 彼女の所属する 神務庁の 仮の神社へと 加速して 去って行きました  フルフェイスのヘルメットから 少し流れる 彼女の長い髪を靡かせて 加速加速加速 地獄篇 その弐へと つづく
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加