序章 地獄篇 

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地獄篇 その弐 夕暮れ時の中王高速を西へ向かう 一台の車  櫻田門警視庁近くの古びたビルより 出発した その車のなかには いやはや なんとも むさ苦しい男二人が乗っています 運転席では精悍な細身マッチョの若者と  後部座席を一人で占有して今にも寝そうな顔をした巨体の持ち主が 運転席より 「武藤(むとう)さん 俺ら 現象課の武討派精鋭二人が揃って行く案件なんですかねえ? 今回の件」と言えば 後ろの大男 面倒くさそうに あくびをしながら「ふはあああー なんだろうねえ 上の判断で 俺とお前さんが行けってことはよぉ」と答えます 「でもさ 玉川に封印されてた たかが 一体の鬼でしょ? 名前なんでしたっけ?」 「焔(ほむら)君 調査対象の名前くらい覚えておきなよ ええと あれ? なんだっけ?」 「って 武藤さんだって忘れてるじゃないですかぁ」 「いやいや ど忘れ ああ思い出した 剛鬼 三吉(ごうき さんきち)だよ そうそう三吉。。。っつうかなんかぬけた名前だなあ」 その時でした いきなり 焔氏の運転する車内に 女性の声が響き渡り「こらぁ おまいらぁ 何 気を抜いてるんだぁ ピシッっと行ってすぐ解決してこい このむさ苦しい武討派連がぁ」と叱られて 「あちゃ すいやせん 勾田(まがた)さん。。 弁慶さん まさか 勾田女史の勾玉 懐にいれっぱなしじゃないですかあ?」と 焔 信司(ほむらしんじ) 後部座席の武藤 弁慶(むとうべんけい)に 抗議をすれば 弁慶氏「すまん つい 懐いれっぱなしじゃったわぁ 勾田の姉さんにこっちの会話 駄々漏れしてもうたかぁ がははは」 と なんとも 陽気なコンビですが 二人とも 警視庁現象課(不可思議な案件のみ扱う秘密の部署)では エリート隊員ではあるのだが。。。 一方 櫻田門近くのビルの一室では 今の会話を聞いては 呆れていたのは  これも 二人の上司にあたる 勾田 裕子(まがたゆうこ)女史 そして記録係の 湊川 豊(みなとがわゆたか)氏 そこへ別の案件調査から戻った 皆本 涼子(みなもとりょうこ)も加わって 今のやりとり聞いては 笑いこけていました まさか 彼ら二人が向かった玉川沿いの封印石事件が恐るべき案件だとも知らずに 車は 付中インターを降りて 一般道路を玉川へと向かって
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