序章 地獄篇 

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「ああ バリバリ食いおった あいつ 恐ろしく貪欲なやつだったなあ」 「って 万年竹だって抵抗したんですよね それにやつら 結構攻撃力もあるはずだし いやいや 数も半端なく多いっしょ それをですかぁ」 「ああ あの黒い化け物は 竹槍のように刺されても なんの痛みもないみたいに食らいおったわ」 その話をしていると 川の流れの中央辺りから 何かが ゾワゾワっと盛り上がって来ます それを見た 土地神のじいさん 顔色が白くなり 「あやつ また出おった わしぁ 消えるぞぉ あんなの相手にできんわ」と ゆらゆらと 陽炎の如く消えて行きます 「おいおい じいさん あんたが逃げちゃ あかんべーぇ っつうか 弁慶さん あいついったい 何なんっすかね?」 黒い化け物が川より 浮き上がってきたのを見つめる 武藤 弁慶 「あやかし もののけ 魔物 いや違う 霊力が半端ないぞ」 「どっちみち 一戦交えるっきゃないでしょ 」と 火球を掌で作り出す 焔 「待て やつが何をするつもりか 見定めてからだ」 ズズズズーーー ザバァーーーン ついに 上半身を現した 化け物 それは 巨大な山椒魚を思わせる形をした真っ黒な化け物です ごぉーーーーーー むぉーーーーーーーー 咆哮をあげて 川より 砂地へと上陸した そのもの  昨日 ぶっ壊した 封じ石があった場所の巨大な穴へと 巨体をずりずりと動かしています 体の大きさ まるで巨象を思わせる高さ そして頭から尻尾まで ヌメヌメとした体の全長は 五メートル近くあり まさに 太古の恐竜もかくやと思った瞬間 穴に隠れていた 数匹の小鬼(どうやら 剛鬼 三吉と一緒に封印されていた小鬼らしいが)が 飛び出してきたところを  巨大な真っ黒な山椒魚  鈍重な化け物らしからぬ 素早い動きで 小鬼を食らい始めました うぎゃー 小鬼たちの叫びに 「やろう ふざけやがってぇ 」 頭にきた 焔 信司  両手から 火球を発射しました どーーん どーーーん バチバチ 火の気が 巨大な山椒魚を包むも 一瞬にして 火球の炎が 消えていきます 「なんだぁ? あいつ 火まで食らいやがった」 「焔君 こいつ 何かが違うぞ ただの化け物じゃねえ」 そのもの 今の火球攻撃など意に介せず また 逃げる小鬼を食らっています
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