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ーーー誰もいない道を夕焼けに向かって歩くと、夕焼けの中へ溶け込んでしまう。
オレンジ色の道はまだまだ家は遠い。夜実の隣で友見はアスファルトを眺めていた。遠くのものはオレンジに見えるのに、近づけばただの黒っぽい灰色だ。どうしてかと、考えてみるが答えは出ない。
「もし、溶けてしまったらどうする?」
「・・・わからないよ。」
夜実は夕焼けを見つめていた。このまま真っ直ぐ歩いていくとそのうち溶けてしまうのだろうか。その時は、友見と一緒に溶けるのだろうか。そんなことを考えていた。
「ねぇ、友見ちゃん。」
「なに?」
「・・・私と一緒に居てくれる?」
夜実の質問の意図など、友見は知る由もない。目一杯の笑顔で友見は頷いた。
「うん。私、夜実ちゃんと一緒にいるよ。」
「・・・・そう。ありがとう。」
夜実は少し悲しげに、顔を伏せた。歩いていく。他愛のない会話は、次第に途切れていた。やがて、一人の影が消える。友見は振り返った。もうどこにも、夜実の姿はない。
「夜実ちゃん?どこ?」
ひらりと、どこからか一枚の紙が落ちてくる。それは、友見の足元にたどりついた。拾い上げる。夜実の文字だ。
「私宛て?」
『友見ちゃんへ』
そこには、夜実が死ぬ前に行った場所が書かれていた。ピエロ商店、図書館・・・友見が夜実と行った場所である。そして、最後に書かれていたのはーーー。
「・・・学校?」
友見と夜実が通う学校の名前があった。夜実は学校へ向かったのだ。何故?友見はその足で、学校へと向かう。きっと、夜実が伝えたかったことがあるはずだ。例え、怖い目にあったとしても・・・友見は夜実をもう失いたくない。何かあるならば、絶対に見つけなければ。ーーー夜実がそれを望んでいるから。
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