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笑う風船
ーーー聞いたことある?ピエロ商店の裏に笑う風船があるって話。
ーーーその風船の笑い声を聞いた人には、7日以内にピエロからプレゼントが貰えるんだって。
ーーープレゼントの中身はわからないけど、いい子ならとびっきり素敵な物が貰えるらしいよ。
友見は何と返事をしたか覚えていなかった。ただ、その次に出てきた言葉があまりに衝撃的だったことは思い出せる。
ーーー私、笑い声聞いたの。昨日の帰り道ね。
目の前の友人、橘夜実が何かを企んでいるのはここ数ヶ月の付き合いでわかった。そして、現在友見は夜実と共にピエロ商店の前に立っている。もうすぐ日が落ちて、暗くなる。小学生には恐ろしく感じる時間帯だ。
「帰らなくていいの?」
「プレゼント、気になるでしょ?」
「プレゼントって家に届くんじゃないんだ・・・。」
夜実はピエロ商店の扉を引いた。友見も置いていかれたくなくてついていく。一人になるのだけは嫌だ。
「薄暗くて見えづらいわね。」
「電気ついてないのかな?」
店内は背の高い棚が並んでいて、二人の身長では周りを見るのも一苦労だ。夜実が視線の範囲にある棚の商品を確認する。何年か前に流行っていたヒーローのおもちゃのようだ。
「だいぶ古いものね。」
「か、勝手に触って大丈夫?怒られないの?」
「友見ちゃん、ここはお店なのよ?盗みでもしない限り商品を触って怒られるなんてことはないわ。」
夜実の言葉に不思議と説得される友見だった。二人は手の届く棚の商品を見て回る。どれも古いおもちゃばかりで、友見の目には新鮮に写った。楽しくなった二人はどんどん奥へと進んでいく。
「わあ、おはじきにビー玉も置いてある!夜実ちゃん、見てみて!」
「こっちはメンコね。やったことないけれど、聞いたことはあるわ。」
「このビー玉綺麗!売り物かな?」
「どうかしら?値札が無いようだけれど。」
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