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次の日は、夫は朝から休日出勤だった。
クリニック勤めに変わった私は、カレンダー通りの休日を貰えている。
御局様には萎縮するが、休みがきっちりしてるのは有難い。
夫を送ったあと二度寝して、今は11時。
インスタントのラーメンを食べながら、ぼんやりと録画したテレビを見る。
画面の中では、国宝級イケメンとまで言われている私の大好きな俳優が、芸人さんと一緒に笑っていた。
この番組は彼が出るから録画したんだ。
かっこいい。世界で1番。
昨日少し荒んだ心が、一気に洗われていく感覚。
そもそも、なんで私は夫の発言が気に食わなかったんだろう。
お金?
いや。うちの家計は基本各自だから、家賃と光熱費と月々の貯金3万だけ入れてくれれば、私の生活に支障はない。
じゃあ何?
そう思った時、ポン、と軽い機械音がした。
スマホの画面を見れば、新着メッセージが届いている。
花ちゃんからだった。
『今日休みだよね』
『飲み行かない?』
細切れでメッセージを送ってくるのは、花ちゃんの癖だ。
『いいよ。』
そう送ると、すぐに既読がつく。
『よし。』
『17時に南口ね』
花ちゃんから、場所と時間を指定される。
夜の予定ができた私は、夫に『花ちゃんと夜食べてくる』とメッセージを送った。
こういう時、食事は基本各自で作る、という我が家の制度はとても楽だ。相手のご飯を心配することや、自分が食べないのに相手の分を作る必要が無い。
私は大好きな俳優さんの笑い声をききながらスマホに目を落とし、旧友との久々の食事に少し胸が踊った。
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