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放課後。
あれから一時間程寝てしまっていた私は、優木先生にお礼を言って、帰宅することにした。
最後の授業は、確か美術だった。
美術なら、特に焦る理由はないので一安心する。
少しだけ遅くなってしまった帰り道。
ことりに連絡を入れると、「りょーかいです!今日は友達とデートするので晩御飯食べちゃっててね♡」と返ってきた。
「そういえば書いてましたね……」
朝の光景をボケーっと思い浮かべながら、帰り道を辿る。
冬のこの時間になると、暗くなるのが早くなるからか犬の散歩をする人がたくさん出てくる。
何度かすれ違うので、挨拶をしながら歩いていると、クレープ屋が見えた。
穂乃果がよく行くので、放課後に付き合わされることもあって、もう店員さんとは顔見知りだ。
軽く挨拶をすると、「穂乃果ちゃん、さっき友達ときてたよー!」とお姉さんが言った。
穂乃果が来た、のか。
穂乃果がここにくる場合は、絵里か私がついて行く。
凛とかに任せていると、絶対食べ過ぎるから。
じゃあ今日は絵里がいたのだろう、とお姉さんに聞いた。
「あの……穂乃果、金髪の人を連れていませんでしたか?」
「金髪の人?ああ…確かにいたけど、今日は三人だったよー」
三人?凛と一緒に行ったのだろうか?
「すっごい可愛い子だったなー。あ、でも髪型は変わってたよ。なんか、こう、サイドポニーテールみたいな…」
サイドポニーテール……へぇ、穂乃果にそんな友人がいたとは。
「制服違ってたし、他校生じゃないかなぁ?」
「え?………他校生、ですか?」
「うん、珍しいよねー……音ノ木以外の学校で一番近いのでも電車使わないと行けないのに……」
本当に珍しい。
穂乃果がそんなめんどくさいことするとはなぁ……。
「そうですね……でも、それだけここのクレープが美味しいと言うことじゃないですか?」
「やだ、もう……相変わらず、お世辞うまいんだから!」
「お世辞じゃないですよ」
「ふふ、ありがとね!」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。では、また来ます」
「ええ、いつでもいらっしゃい」
手を振ってくれるお姉さんにペコっとお辞儀をして、家に向かう。
今日はことりがいませんし、夕飯には久々にニンニクを使いましょうか。
ガーリック系、意外と好きなんですよね。
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