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その夜。
ガーリックペッパーをかけた小さなチキンを食べていると、ガラガラっと玄関から音がした。
ことりが帰ってきたのだ。
私は席を立ち、玄関へ向かった。
「………」
帰ってきたことりは、顔を真っ赤にしていた。
よく見ると、外は真っ白だった。
「ことり、おかえりなさい」
話しかけても反応なし。
見たこともないことりに、少し戸惑いながら、「寒かったでしょう?お風呂沸いてますから、入っちゃってください」と言っておく。
「……ょ…は………ろ……?」
「はい?」
ことりがブツブツ何か言っているので聞き返す。
「………しょに」
「?」
「………一緒に、はいろ?」
「……………………はい?」
聞こえた。
確かに聞こえはした、けど。
「だ、ダメです」
「………なんで?」
「んなっでっ…………って………」
「………」
「そ………れは…」
「………」
「………と、とにかくダメです!」
真っ赤になっているのがわかる。
頰が熱い。
「なんで?」
「いや、ですから、その………」
「………うみちゃんの、ばか」
「何故」
私の頭とこの件は全くもって関係ありません!
「もう、いいもん……」
ふらっと、ことりが倒れそうになるのを抱きとめる。
「っと…………ことり?」
「っ……なんで」
「なんで、と言われましても……無理です」
開けっぱなしになっていた扉を閉め、とりあえずリビングに戻ろうとした。
「そっちじゃないもん……!」
「それ以外に何があると」
「穂乃果ちゃん!」
ピクッと、私の動きが止まった。
寒い廊下から温かいリビングに早く行きたいのに、足がうごかない。
「………なんで驚いちゃうの……?」
「…え、や、普通驚きます」
「驚かないもん!ていうか、そろそろ察してよ!」
「何をですか!?」
「私の気持ち!」
どう察しろと!?
「だって、今日穂乃果ちゃん、言ってたもん……!」
「何をですか…!」
「海未ちゃんと……………」
「海未ちゃんと……!?」
「……………」
「………あれ、ことり?」
「……………」
散々暴れようとしたら、今度はおねんねの時間ですか。
とりあえず、ことりを横抱きにしてことりの部屋に運ぶ。
二階へ続く階段を登り、奥のことりの部屋に入る。
可愛らしい部屋の中のベットに横たわらせて、寝かせておく。
……………着替えさせた方が、いいですよね?
ことりのクローゼットから、パジャマらしきものを取り出し、横に置いておく。
…………さて、ここからが問題です。
いかにことりの身体を見ずに着替えさせらることができるか。
………とりあえず、電気は消しましょうか。
扉の横にあるスイッチを押す。
パチッと部屋の電気が消えた。
ベットの上に乗り、窓に手を伸ばした。
カーテンも閉める。
これで準備はできました。
ベットの上に寝かせたことりを脱がせやすいように立たせる。
ことりのブレザーのボタンに手をかけ、スルスルと脱がしていく。
少しだけ変な気が起きたような気がしたが、不屈の精神で沈める。
シャツも脱がして、その次はスカートに手を伸ばす。
「………下着は………いいですよね」
下着姿になったことりを、パジャマ姿にさせていく。
にやけそうになる口元を引き締め、真顔で着替えさせる。
大丈夫、全然見てない。というか見えない。
パジャマに着替えたことりを、ベットに寝かせる。
三十分だけ寝かせ、その後にお風呂に入ってもらおう。
空腹を感じ、リビングへ戻る。
ガーリックペッパーチキンを平らげ、お皿を洗ってからカレンダーに明日の予定を貼り付けた。
まだ少しだけ時間があるので、私も少し寝かせてもらおうとコタツの中で横になる。
目を閉じてすぐに訪れた眠気に身を任せ、眠りの世界へ落ちていった。
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