4話 父の言葉といつもの日々

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「ただいま戻りました」 と言う気も失せ、玄関を開けたら無言で自室へ向かう。 もちろん、今日はあちらに行くと聞かされていたことりは驚いて出てきた。 「海未ちゃん!?どうしたの!?」 とでも言おうとしたのだろうが、私の顔を見た瞬間に、キッチンへと戻って行った。 随分と慌てていたようだ。 顔は見ていないが、足音でわかる。 その理由を考える気にもなれず、トントンと、いつもなら心地よい包丁の音にも気付かずに階段を上っていった。 ガチャ、と自室のドアを開けたらその後はもう決まっている。 ベットへバタンキュー、というわけではなく、テレビを見る、というわけでもない。 ただただ、ソファの上でぼーっとしているだけだ。 小説の中の主人公やらなんやらの人間は、疲れたらベットへレッツゴーとかさっさと寝るぞオラァ!って感じの本が多いが、私の場合はただボケーっとしていることが多い。 ちなみに、ことりは料理と趣味で作っている服の製作だそうな。 この四日間のうちに、何点も洋服を作ってしまった彼女は、もはやなんというか、凄いという言葉ではかたづけられないというか。 ああそうだ、今度、ことりに作ってもらいたいものがあったのだ。 頼んでみよう、きっと、ことりの事だから、目を輝かせて「なになに!?」なんて可愛く聞いてくるのだろう。 そうだなぁ、とでもちょっとだけ焦らしてみようかなぁ。 そうしたら、きっと、あの白くて柔らかい?をぷくーっと膨らませるのだろう。 ツンツンとつついてやりたいなぁ。 そんなくだらない事を考えていると、ドアから来客のお知らせが。 「海未ちゃーん、入るよー?」 あの愛しい愛しい声に、思わず?を緩ませると、ガチャ、という音とともにトサカを揺らしながら、彼女が入ってきた。 「ちょっとだけど、おやつ作ってきたんだー!一緒に食べよ?」 「朝からですか?」 「いいじゃーん、付き合ってよぉ」 「しょうがないですね」 「やったぁー!」 子供のような姿に、クスリと笑いながら答える。
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